ワンちゃんに梨を与える前に知っておいていただきたい事

愛甘水、あけみず、あきづき、新高、観月、愛宕、二十世紀、新甘泉、新星、王秋、豊水、幸水… …。これは、梨の品種名のほんの一部です。みなさんは梨、お好きでしょうか?私は大好きです!この時季は毎日のように食卓に出しております。

お梨2

今回は獣医師から、そんな梨にまつわるちょっと怖いお話をさせていただきます。




ずいぶんと涼しくなりました。
実りの秋、おいしい果物の季節となりました。

この時期、夜の救急病院で増えてくるのが『食道内異物』の症例。
梨や柿、りんごを与えたら、咽に詰まらせた?!と言って苦しそうにしてくるワンちゃんたちです。

食道内異物とは、食べ物などが、大きさ、形状、素材が原因で食道を自由に通過できない時に発症します。食道内を塞いでしまうので違和感、不快感などの自覚症状と、その状態が持続すれば食道粘膜に炎症を起こしたり、吸引性の肺炎へと発展することもあります。
過去に実際にあった重症例では、短頭種(鼻の短い犬種)の飼い主さんから「のどに物を詰まらせたらしい」というお電話をいただき、急いで連れてきていただいたものの、既に心肺停止になっていたという事もありました。

食道内異物の主な症状は、吐き気、えづき、元気消失、よだれ、落ち着きのなさ、嚥下困難などです。
若い年齢から中年齢の犬に多く、いわゆる”一気食い”、”丸のみ”がきっかけとなります。

ワンちゃんたちは、人間のような咀嚼(よくかんで味わって食べる事です)をしません。ある程度の大きさに噛み砕いたらすぐに飲み込んでしまうのです。そして”おいしいもの”や”取り上げられたくないもの”は特に慌てて飲み込んでしまいがちです。そんなワンちゃんたちですから、”のどに詰まらせないように気を付けて食べる”などということはしません。飼い主さんが代わりに気を付けてあげなくてはならないのです。

のどに詰まらせてしまいそうな物を与えないこと、または与えるときは必ず小さくするなどの注意と工夫が不可欠です。日ごろ、ジャーキーや犬用ガムなどを丸飲みしているワンちゃん(させてしまっている飼い主さん)は要注意ですよ。今まで大丈夫であったとしても、これからも大丈夫とは限りませんから。

防げる事故には注意していただきたいと思います。

お梨3
♪僕のお梨はペラペラお梨~ 食べるときには持っててもらうのよ~





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